わたしたちの気分には変化があるのが普通です。うれしいことがあって元気な日もあれば、ものごとがうまくいかずに落ち込むときもあります。
通常、落ち込むことがあっても、時間がたっていくと落ち込みは自然に変わってます。わたしたちの心には、体と同じように自然に傷つきから回復する力があります。そして、数日でいつものように過ごすことができるようになります。
けれども、大きく傷ついてしまい、自然に回復する力がうまくはたらかなくなり、落ち込みが回復しなくなってしまうことがあります。「うつ」とは、自然な落ち込みとは違って、時間がたってもそのままの状態が続いてしまうのです。
そのような状態を「うつ状態・うつ病」といいます。ケガや病気のように、「強い落ち込み・うつ状態・うつ病」には、専門的な手助けやお薬、身近な人の理解が必要です。
うつ状態では、気分が落ちこむ「抑うつ症状」のほかにも、いろいろな変化が見られることがあります。
・気分が沈む 落ち込む
・自分を責める
・罪悪感
・楽しみやうれしさを感じない
・死にたくなる
・なかなか寝つけない、早朝に目が覚めてしまう、眠りすぎてしまう
・食べられない、食べすぎてしまう
・あたまが痛い、腰が痛い
・おっくう
・つかれやすい
・吐き気、めまい
・月経異常
・注意力が下がった、もの忘れが増えた
・ものごとに集中できない
・考えごとが難しい
落ちこみ・うつには体と心を休ませることが大切です。その上で、医療・心理カウンセリングと適切な対応を取ることで、多くの人が落ちこみ・うつから回復していきます。
・休む
・薬物療法
・カウンセリング
話をすることは病気や問題に直面したときの対応として、いちばん大切なことです。
苦しいときほど話しにくくなってしまいますけれども、話をすることによって「自分の状態に気づく」「いろいろな援助のアイディアを聞ける」「助けを求める」など、さまざまな良い効果が期待できます。
自分の中にある考え方を変えていく心理療法です。
強く落ち込んだり、うつ病になると、自分のことや周りのことを落ち着いて考えることが難しくなります。「自分が悪い」と考えたり、「これからいいことは何も起こらないんだ」といった「ものごとのとらえかた」=「認知」に働きかけるものが認知療法です。
<出典>
エビデンスに基づくカウンセリング効果の研究 ミック・クーパー著
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法 デビッド・D.バーンズ著
認知療法実践ガイド基礎から応用まで―ジュディス・ベックの認知療法テキスト ジュディス・S. ベック著