わたしたちの体・脳・こころは生まれる前から発達を続けています。原因はまだ十分にわかっていませんが、何らかの理由で脳の発達に凹凸があり、日常生活に問題が出る状態を発達障害といいます。特に、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)が代表的な障害としてあげられます。
近年、発達障害が知られるようになり、子ども大人も発達障害と診断される人たちが増えてきています。その一方で、発達障害への対応はまだ、これからの課題です。
また生活、学習、仕事、人間関係でのトラブルをきっかけに大きく傷つくこともあります。そのような状態を二次障害と呼びます。二次障害については直接こころのケアが必要な状態ともなります。
発達障害は、本人と周囲の人達が本人の特性や困っている点をよく理解をし、環境調整や本人に合う対応を取ることによって、より生活しやすくなります。
これまで「自閉症」や「アスペルガー症候群」などの名前呼ばれてきた障害です。 スペクトラム症とは、症状の重い人から症状の軽い一般の人までが連続で繋がっていて、明確な線が引きにくい状態のことを指します。
①社会でのコミュニケーション
②こだわり興味・関心が限られていたり、特定のものへのこだわり
③感覚の敏感さ、もしくは鈍感さといった身体感覚の問題
といった広い領域に問題が見られます。それぞれの問題の出方は個人で大きく異なります。
自分のことを知ること、社会のことや周りの様々なことを具体的に知っていくこと。そして周囲の人が本人の状態を知ってできる手助けをすることによって社会での生き易さはずいぶんと変わります。
集中力、感情のコントロール、行動の計画と実行などの問題により、生活しづらさを抱える障害です。
①多動性(じっとしていられない)
②衝動性(急に行動する)
③不注意(注意をコントロールするのが難しい)
の三つの問題が見られます。それぞれの人で症状の強さは違い、直面する困難さは異なります。多くの場合、多動性と衝動性は大人に成長する課程で落ち着いていくことが多く、不注意の問題は長く続く傾向があります。
現在薬を飲むことで、身体面からある程度症状の改善が期待できます。また、本人にあった対応を取り良い体験を積み重ねることによって、良い特性を活かすことができます。
発達障害のカウンセリングでは、自分について知ること、周りの人たちや状況について知ること、具体的な対策を考えて行っていくことが重要です。
そのためにも安心して話ができて、意見の交換ができるカウンセリングが重要です。
子どもの発達障害で重要な対応方法です。発達障害を持つ当事者の一番身近な支援者として、子どもへの理解とよりよい接し方を身につけます。子どもへの良い影響はもちろんのこと、日々対応する親への心理社会的な大きな支えとなります。
あいさつをする、人に話しかける、人と適切に関わるソーシャルスキル(社会的技能)は、社会で適応して生きていくときの大切な技術です。多くの人は成長の過程で意識せずに身に着けますが、発達の偏りがあると、ソーシャルスキルと適切に学べずに過ごしていることがあります。練習を通してソーシャルスキルを身につけることで、社会生活をよりよく送ることができるようになります。
自分の中にある考え方を変えていく心理療法です。
特に発達障害があると周囲の情報をうまく利用することができないことがあります。そういったときに冷静に周りの状況を判断し、穏当に考える切っ掛けがあることは重要です。
強く「自分が悪い」と考えたり、「これからいいことは何も起こらないんだ」といった「ものごとのとらえかた」=「認知」に働きかけるものが認知療法です。
発達障害を持つ大人の人たちには、子どもの頃人間関係がうまく行かず、学校や家庭で大きな傷付きを持っている人たちがたくさんいます。そういった傷つき、トラウマを回復させることで、心身の状態を回復させていくことができます。
<出典>
発達って、障害ってなんだろう? 日原信彦 監修
公認心理師のための発達障害入門 黒田美保 著
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