リソースについて

リソースとは何か?

カウンセリングでリソースについて話しているイラストイメージ

  最終更新日:2025年4月15日 

執筆:公認心理師 佐藤康幸

 

「リソース」という言葉を聞いたことはありますか?リソースとは、私たちが困難を乗り越えたり、成長するために活用できる「自分を支える力」のことです。リソースには大きく分けて内的リソースと外的リソースの2種類があります。

 

●内的リソース:自分の内側にある力(例:楽観的な考え方、忍耐力、好奇心、過去の成功体験)

 

●外的リソース:周囲の環境や人間関係など、自分の外側にある支え(例:家族や友人のサポート、お気に入りの場所、役立つ本や情報)

 

私たちは日常の中で、知らず知らずのうちにこれらのリソースを活用しています。リソースを意識して活用できるようになると、より効果的にこころの健康を保ち、ストレスとうまく付き合うことができます。また、自分のリソースに気づくことで、悩んでいることを解決するために、あるいは、こころの問題に向き合うときの回復の大きな力になります。

 

 本ページでは、リソースの見つけ方や活用法、カウンセリングではどのように扱うのか解説していきます。

 

 


日常の中でリソースを見つける方法


 

では、どのようにして自分のリソースを見つければよいのでしょうか?

 

(1) 自分の内的リソースを探す

 

まずは、自分の中にあるリソースを振り返ってみましょう。

以下の質問に答えることで、あなたの内的リソースが見えてくるかもしれません。

 

  • 過去に困難を乗り越えた経験は? そのとき、どんな力を使った?
  • 自分の良いところや得意なことは?
  • 気分が落ち込んだとき、どうやって立ち直っている?

 

例えば、「仕事で大きな失敗をしたけど、粘り強く努力して挽回した」という経験があるなら、あなたには「忍耐力」や「問題解決力」という内的リソースがあると言えます。

 

自分には良いところなんて何もない。内的リソースなんて見つからないという人もいるかもしれません。けれども、こうしてこのブログを読んでいること。読む力があったり、なんとかしようとしてカウンセリングのホームページを探してみていることも、とても立派な内的リソースのひとつなんです。

 

 

(2) 外的リソースを探す

 

次に、自分の周りにある外的リソースを探してみましょう。

 

  • あなたが安心できる場所や時間は?(例:お気に入りのカフェ、公園、読書の時間)
  • 支えてくれる人は誰?(例:家族、友人、同僚)
  • 役立つツールや情報は?(例:心が落ち着く音楽、気分を切り替える方法)

 

例えば、「友達と話すと気分がスッキリする」なら、その友達との時間があなたの外的リソースになります。

 

 


リソースを活用する方法


 

リソースは、それに気づくだけでも自分を助ける力を持ちます。さらにリソースを意識的に活用することで、よりよく日々の生活に役立てることができます。どれもすぐに沢山できる必要はありません。10%の変化があったら上出来ですね。少しずつの変化を積み上げていくことこそが、気がついたときにはずいぶんと大きな変化になっています。

 

(1) 内的リソースを強化する

 

  • 成功体験を振り返る:小さな成功でも書き出してみる
  • 前向きな思考を身につける:「できない」ではなく「どうすればできるか」を考える
  • リラックスできる習慣を持つ:深呼吸、瞑想、ストレッチなどを取り入れる

 

(2) 外的リソースをうまく使う

 

  • 人とのつながりを大切にする:頼ることは悪いことではない
  • 環境を整える:快適な空間を作ることで気持ちが落ち着く
  • リフレッシュの時間を確保する:お気に入りの場所で過ごす時間を作る

 

 


カウンセリングでリソースを探す


 

悩んでいるときやこころの問題でつらい思いをしているときは、一人でリソースを探すことが難しいときでもあります。そんなときはもちろん、カウンセリングでカウンセラーと一緒にリソースを探すことができます。

 

カウンセリングでは例えば、こんな風にリソースを探します。

 

 

(1)過去の成功体験を振り返る

 

カウンセラーと一緒に、「過去にうまく乗り越えた経験」を思い出し、どんなリソースを使っていたかを探ります。

 

例:「以前、仕事のストレスを乗り越えたとき、友人との会話が支えになっていた」

 

ここから、「信頼できる人との対話」がリソースだとわかる。

 

 

(2)現在の支えになっているものを整理する

 

普段、気づかないうちに使っているリソースを一緒に言語化します。

 

例:「落ち込んだときに深呼吸すると落ち着く」→ 呼吸法がリソース

 

例:「好きな音楽を聴くと元気になる」→ 音楽がリソース

 

 

(3) 内的リソースと外的リソースを確認する

 

内的リソース(自分の内面にある力)

 

忍耐力・楽観性・ユーモア・好奇心・問題解決能力など

 

外的リソース(周囲の環境にある支え)

 

家族・友人・職場の仲間・本・自然・カフェなど

 

カウンセリングでは「どのリソースが今役立つか?」を考えながら整理していきます。

 

 

(4)新しいリソースを見つけるためのワーク

 

カウンセラーと一緒に新しい視点を得るためのワークを行います。

 

スケーリング質問:「今の自分の調子を10段階で評価すると?」→ 「今より1段階上げるために何ができるか?」

 

例外探し:「最近、少しでも気分がよかった瞬間は?」→ 「そのとき何があったか?」

 


まとめ


 

リソースは、私たちが人生をより良く生きるための大切な「支え」です。内的リソースと外的リソースを知り、活用することで、困難な状況でも前向きに進むことができます。

 

「自分にはリソースがない…」と思う人もいるかもしれません。けれども、実はすでに持っているものも多いのです。つらいときはリソースに気づくことが難しいときでもあります。そんなときはカウンセラーとリソースを探すところから始めてみませんか。カウンセリングはつらいことを話すだけではありません。自分のリソースに気づいて活用する方法も一緒に探していきましょう。